カフカースーニつの文明が交差する境界

摘要

ご存知の通り、カフカース（Kabkae）とは黒海、アゾフ海、カスピ海に挟まれた地域を指し、日本では、英語名（Caucasus）から「コーカサス」と呼ばれることも多い。 カフカースと周辺地域を分かつ明確な境界はないが、現代の地図で示すならば、カフカース山脈以南の南カフカースにはグルジア、アルメニア、アゼルバイジャン、そして北カフカースには、ロシア連邦に属するアディゲ共和国、ダゲスタン共和国、北オセチア共和国、カバルディノ·バルカル共和国、カラチヤイ·チェルケス共和国、イングーシ共和国、チェチェン共和国、クラスノダル地方などが含まれる。 改めて言及するまでもなく、このようなロケーションにあり、カフカースは古来より多種多様の宗教·宗派、言語、民族、文化の交差点であると同時に、絶えず大国のせめぎ合いの舞台となってきた。 本書は、日本ではまだほとhど知られていないこの地域の実情について、歴史、建築、そしてロシア文学の視点から3部構成で各分野の論考を紹介する、読み応えのある一冊だ。