交通：地下鉄銀座線トンネルの健康診断

摘要

地下鉄銀座線は、東京の浅草と渋谷を結ぶ営業キロ14.3kmの路線である。 我が国初の地下鉄として大正末期に建設が開始され、上野～浅草駅間が昭和2年に開業しており、トンネルはそろそろ80年歳を迎えようとしている。 これまでは日常の検査·補修に加え、一部必要な区間で補強工事等を実施して維持管理に努めてきている。 コンクリート構造物を維持管理する技術は、これまで一般的には目視検査やハンマーによる打音検査を主体に、経験を重視した判断がなされていたが、構造物の経年が進む近年、より高度な劣化診断が期待されるなか、平成13年には土木学会「コンクリート標準示方書［維持管理編］」が制定され、各方面で調査·補修などの技術開発が進められているところである。 このような状況のなか、銀座線のトンネルを今後も末永く安全な状態で供用していくため、トンネル構築の現状と将来の健全性を総合的に評価し、今後の維持管理の方針を明確にすることを目的に、詳細な調査·診断を行ったのでその概要を報告する。