不活性ガス環境での水素ガスセンサ

摘要

Pd内の水素は、Pdのバルク中に存在するよりも、Pdの界面や表面に存在するほうが安定する。このため、Pdの界面反応を用いた水素ガスセンサはごく微量の水素を検出でき、高感度であるという特徴を持っている。しかしながら、Pdの界面に吸収された水素は、Pdバルクの水素よりも安定であるため、センサが置かれた雰囲気から水素が取り除かれて、Pdバルクの水素がなくなっても、Pdの界面には界面を覆うには充分な量の水素が存在し続けるため、雰囲気中の水素がなくなったことが検出できなくなるという特性がある。この界面の水素を取り除くためには、大気に暴露するなどして、水素と酸素を反応させて取り除く必要がある。これに対して、Pdのバルクとしての特性を用いたセンサは、界面反応を用いた水素ガスセンサに比べて感度は劣るものの、雰囲気中の水素量に応じた反応を示すため、酸素の存在しない不活性ガスや真空中での水素ガスセンサとして応用できる。