資源情勢と資源経済学

摘要

資源経済学はMineral Economicsの訳であり，もっぱら石油·石炭や金属などの地下鉱物資源を対象として，経済学やファイナンスの手法あるいはシステム工学の手法を用いた分析や政策提言を行う分野である．エネルギー経済学といった他の経済学の分野と重複する部分も多く，そこに明確な区別はないが，どちらかと言えば鉱物資源を対象にする場合が多く，さらに資源そのものを対象として，資源利用よりもより上流部分にあたる鉱山や地質的なことがらに注目する点が特徴となっている．定義として，資源セクターをあらゆる方面から研究する分野で，探査や採掘，精製·製錬，リサイクル，最終処分までを含む鉱産物の生産と利用に関する経済学の応用分野であるとされている．これはいわば地球と人類が資源を通じてつながる部分を対象としており，資源そのものの状況を考察·分析する分野であると考えると分かり良い．天然資源（Natural Resources）をイメージするとそこには水や大気，森林といったいわゆる環境が含まれるなかで地下資源はその一部であることから環境経済学の対象としてもとらえられている．