第2部 今後の予測は？5.数値シミュレーションの現状と能力,予測モデル

摘要

最近，予測科学の一般的方法の観点からIPCCの方法論について検証する試みが見られます．例えば，予測科学分野の先駆者とも言える米ペンシルバニア大のArmstrongは，IPCC報告書が予測科学の一般論に則っていないとしています．彼は，そもそもIPCCでの予測が気候の専門家によってなされることに異論を唱えています．これには驚きますが，予測科学の分野の研究者が参加していないという指摘であり，彼らの論文を良く読めばその主張に納得が行きます．この議論は，問題解決には多様性が重要であるという最近の複雑系研究の成果とも対応しているように思います．