燃料電池自動車実現へのマイルストーン－JHFC（水素·燃料電池実証）プロジェクトの総括と今後の方向－JHFCプロジェクト全体概要

摘要

007世界的な環境意識の高まりを背景に，水素社会や燃料電池自動車（Fuel Cell Vehicle，以下FCVと略称）に対する関心·期待は引き続き高いものがある．そしてFCVを取り巻く世界的な動きについては，技術開発，基準·標準化や法規制の見直し，そしで普及に向けた実証試験などが日米欧を中心に展開されている．このような状況の中，日本においても平成14年度より，経済産業省の「固体高分子形燃料電池システム等実証研究」補助事業として，日本電動車両協会（現，日本自動車研究所）を補助事業者とする「燃料電池自動車実証研究」及びエンジニアリング振興協会を補助事業者とする「燃料電池自動車用水素供給設備実証研究」がスタートした．両研究は，水素·燃料電池実証プロジェクト（英語名Japan Hydrogen and Fuel Cell Demonstration Project，通称JHFC）と名付けられた．このプロジェクトの中で，FCVや水素ステーションに関する実証試験が4年間行われ，FCVの燃費や水素ステーションの水素製造効率，そしてそれらのデータを用いて算出した総合効率等，得られた結果が公表された．その結果は，国内のみならず海外からも高い評価と関心をもって注目されている．本稿ではこの水素·燃料電池実証プロジェクトの概要や，得られた成果並びに課題について説明すると共に，今後の実証試験の展望についても述べる．