普通ディーゼル貨物車燃料規制の影響分析

摘要

本研究では，普通ディーゼル貨物車に対して，最大積載量別に保有·使用·燃費を表すモデルを構築した．2020年までGDPが年0.5％上昇していくとき，軽油消費量は1990年比で36％程度増加し，9tや12t以上の大型貨物車のシェアが増加すると予測された．このモデルを用いて燃費規制について検討し，規制により見込まれる新車価格上昇に対して保有台数を減らし，積載効率の向上がなされる場合，積載重量の増加による燃費の悪化よりも台数自体が削減されることによる削減効果が上回ることを示した．また大型車は年間走行量が大きいため，車両価格の引上げ率が小型車より大きいとしても新車代替が小型車同様に生じる可能性はある．そして大型車の積載効率の向上の効果は大きい．燃費規制を小型車より厳しく設定することも十分検討に値するといえる．もちろh今回の推定は再検討すべき多くの課題を残している．最大積載量別の考慮が十分でない台あたり走行量や積載効率の再検討，価格を明示的に扱い，さらに保有·使用·燃費の相互作用を考慮した検討などが必要である．またNO{sub}x，PMへの影響や，規制と税制との組み合わせ施策などについても検討していきたいと考えている．なお本研究は科学研究費補助金·若手研究(B)の研究成果の一部である．