川崎重工における水素焚きガスタービンの開発状況

摘要

2018年7月，第5次エネルギー基本計画が閣議決定された．その中で，国際的な水素サプライチェーンの構築と，水素を大量に消費する水素発電の導入に向けた技術開発についても記載されている．弊社では，図1に示す液化水素サプライチェーンならびに水素発電を実現するための各種技術開発ならびに実証を進めている．本稿では，弊社で取り組hでいる水素燃焼技術の開発ならびに水素焚きガスタービンの開発状況について紹介する．水素焚きガスタービンの実現には，水素を安定かつ低NO_x（窒素酸化物）に燃焼させる水素燃焼技術が重要となる．水素は天然ガスに比べ，燃焼速度が速いことから，燃焼器部品の高温化·焼損が生じやすい．特に低NO_x型燃焼器に用いられている予混合燃焼方式では，燃料と空気を混合する通路内に水素火炎が逆流する逆火が発生するリスクが高い．また，火炎中に局所的に高温部が生じることから，NO_xの発生量も多くなる．