ZEHの推進における住宅電気設備の果たす役割と課題

摘要

今ひとつは，ZEHが健康寿命に寄与するという効用性であり，厚生労働省もその点を認識し始めている．断熱性の高い住宅の多い北日本エリアの方が温暖な西日本エリアよりもヒートショックによる死亡者が少ないというデータも公表されている．室温の変化を最小限にした上で熱交換型の換気設備によって空質（温熱·湿度や清浄機能）を向上できることが，ストレスの少ない住居室内環境，いわゆる「スマートウェルネス住宅」を可能にしている．このような経済性以外の便益は，NEB（ノン·エナジー·ベネフィット）と総称して呼ばれている．NEBの本質的価値は，最も定量化しにくい「快適さ（住み心地）」，例えば，朝晩の冷え込みの少なさなど室内外の気温（変動）差や住居内の室温格差を最少化することかもしれない．