ガス事業の始まりと創生期を支えたガス機器

摘要

ガスの語源は，ギリシャ語の“カオス（混沌）”ともドイツ語の“ガイスト（霊魂）”とも言われている．医者であり，科学者であったベルギーのファン·ヘルモント（1577 ～1644）がたまたま燃焼する石炭から漏れ出る気体を発見し，「石炭は息を吹く」とつぶやき，「この未知なる精気，ガスと名付ける」とノートに記したという．それから約200年後の1812年に，ロンドンにおいて世界で初めてガス事業が始まり，日本ではさらに60年後の1872 年に，横浜でガス事業が始まる．ガス灯用から始まったガス事業は，厨房用，暖房用に用途を拡大し発展していく．その発展の過程には，ガス機器開発等に関わる先人たちの数々の努力と工夫がある．ガス事業の始まりと，創成期（明治～大正末期）のガス機器とその時代背景を振り返り，歩hだ道をたどる．