脱窒細菌を固定化する多孔質マイクロ／ナノカプセルを用いた硝酸性窒素除去技術の開発

摘要

土壌中や地下水中における各種化学物質による環境汚染が深刻化している．その中でも硝酸性窒素による地下水の汚染は，地下水への依存率が大きい欧米諸国をはじめ世界各地で探刻な問題となっており，日本においても多数の井戸から高濃度の硝酸性窒素が検出されている．硝酸性窒素は，人体に健康被害を及ぼす危険な物質である．硝酸性窒素そのものの急性毒性は大きくないが，多量に摂取すると胃の中で亜硝酸性窒素へ還元され，血液中のヘモグロビンと結合してメトヘモグロビンとなり，酸素運搬能力を低下させてブルーベビー症候群といわれるメトヘモグロビン血症を誘発する．また，硝酸性窒素は消化器官内の微生物によって還元されて亜硝酸性窒素となり，体内のアミンやアミドと反応して発がh性物質であるニトロソアミンを生成すると指摘されている．ニトロソアミンが生成されると，膀胱の病気と胃塩酸欠乏症にかかる人が増加することが明らかになっている．このことから，早急な浄化対策が求められているが，現在の浄水システムでは処理することが不可能である．