太陽光による農業廃液処理

摘要

現在，全国的に環境保全型農業が推進されており，環境に配慮した農業技術の確立を目指し，様々な試験研究が行われている．我々は，クリーンエネルギーと呼ばれる光触媒が，環境保全型農業の確立のために有用な技術であると考え，その利用を検討してきた．光触媒とは，「それ自身は反応の前後で変化することはないが，光を吸収することで反応を促進する物質」である．酸化チタン光触媒作用の特徴は，エネルギー密度の低い光を利用し実用的な酸化力を発揮できることにある．太陽光の利用も可能で，酸化チタン自身は減少したり，消耗したりすることはない．これは，植物の葉緑素が太陽エネルギーを利用して光合成をすることに似ている（図1）．光合成は光により二酸化炭素と水が反応して有機物と酸素を作り出す反応だが，このとき葉緑素は光触媒に相当する．このことから，光を利用する農業と光触媒は非常に相性がよいと考えられる．ここでは，我々が取り組hでいる光触媒の農業利用研究とその環境保全型農業への役割について紹介したい．