住宅における省エネルギー

摘要

利便性に関わるエネルギー消費の抑制は今後も，重要かつ困難な課題の一つであるが，暖冷房については，建物の断熱性の向上と，暖冷房機器の効率改善の2つに効果が期待される．前者については，現行の国の定める「住宅の省エネルギー基準」が大きな役割を担っている．住宅のエネルギー消費について，もう1つの特徴は，住宅LCEにおける生産段階の占める割合が，若干大きい点である．図2は建築学会LCA試算ツールによる評価結果例である．30年間の使用想定であるが，日常生活の占める割合が全体の半分，部材製造段階が3割に近い．すなわち，日常生活における省エネルギー努力に加え，住宅建物の長期耐用を考えることが重要である．これには住宅の改修工事が不可欠であり，この際の省エネ化も期待される．以上を背景に，以下では，現行の省エネルギー基準と，長寿命化の施策，更なる省エネルギー推進のためのいくつかの技術を紹介する．