化学工学におけるSDGs達成への取り組み: 効率性から充足性へ

摘要

2015年に国連において持続可能な開発のための2030アジェンダが採択され，その中で17の持続可能な開発目標，いわゆるSDGsが示された．SDGsは政府だけの目標ではなく，その達成のためには，すべての組織や個人の取り組みが求められている．また，その達成には，誰ひとり取り残さないという強い意志も示されている．2030アジェンダでは，随所にSDGs達成における科学技術研究の役割と期待が記述されており，また，第67節では「民間企業の活動·投資·イノベーションは，生産性及び包摂的な経済成長と雇用創出を生み出していく上での重要な鍵である．（中略）労働者の権利や環境，保健基準を遵守しつつ，ダイナミックかつ十分に機能する民間セクターの活動を促進する．」とある．健全な労働環境を持つ産業によるイノベーションへの期待が大きい．いうまでもなく，学術団体や研究者も同様である．