次世代技術を活用した新たな電力プラットフォーム

摘要

2018年から2019年にかけては日本の世界の電力ネットワークにとって象徴的な出来事がいくつかあった．まず日本国内では2018年9月に東海·西日本を襲った台風21号と北海道胆振東都地震，2019年9月関東地方を直撃した台風15号という自然災害によって送配電設備が大きな被害を受けたことである．特に北海道は，わが国にとって関東大震災，阪神淡路大震災，東日本大震災でも起こらなかったわが国初の系統崩壊（ブラックアウト）が起こるという事態に至った．次に海外で見ると，この2年間で欧州では風力発電の急速な普及によって電力ネットワークが一部不安定化する懸念が以前に増して話題にのぼり，米国の太陽光発電普及地域（カリフォルニアや東南部）では日没時の需給バランスが急激に悪化するいわゆる「ダックカープ」問題も益々採刻化しつつある．また，2019年8月にニューヨークで，9月にロンドンでそれぞれ設備劣化と落雷による比較的大きな停電があり，送配電設備や電力システム全体の健全性について議論される機会となった．