災害時の緊急撮影（2014年8月広島災害の事例）

摘要

2014年8月20日の未明、広島県安佐南区および安佐北区を中心とした地域で集中豪雨による甚大な土砂災害が発生した。山腹斜面の至るところで崩壊が発生し、土石流となって山麓に分布する住宅地を直撃した。土石流による洪水氾濫は、西日本旅客鉄道㈱の可部線と国道54号線にも達し、鉄道および道路網等を寸断させ、74名もの尊い人命が失われた。この災害から遡ること15年前の1999年6月29日、広島市·呉市で32名もの人命が失われた「6.29豪雨災害」と同様に、広域かつ同時刻に発生した土砂災害であり、あらためて同時多発的な土砂災害の猛威を認識するに至った。2011年3月11日、東日本大震災により東北地方をはじめとする沿岸地域において、津波による未曾有の被害が発生したことは、多くの人々の記憶に深く刻まれている。このように広域が被災する災害において、被災範囲や被害状況等を迅速に把握することは、災害救援、応急·復旧対策の計画においてきわめて重要である。