叡山電車における改札機と車載器によるICシステム構築－全国初の相互利用カード対応鉄道標準処理車載器

摘要

京都市は世界有数の観光都市であり、国内外から多くの観光客が訪れる。叡山電鉄㈱（以下、叡山電車）においても、沿線に鞍馬や貴船といった人気の観光地があり、行楽シーズンを中心に多くの観光客で賑わいを見せている。また、沿線に住宅や学校も多いことから、通勤·通学の足であるという一面も併せもっている。こうした利用状況から、ICカードシステム導入の要望は従前から多く、導入に向けた検討が続けられてきたが、叡山電車の特殊な運用に対応するには前例のないシステムを構築する必要があり、慎重な検討を重ねなければならなかった。本論文においては、山積した課題を解決し、2016年3月16日に導入に至った叡山電車のICカードシステムについて紹介する。また、本方式は、今後さらなる拡大が想定される全国相互利用において路面電車事業者が新規導入を行う際に参考にしていただけるものと考えている。