歯科X線画像のサブトラクション法における位置合わせ精度向上

摘要

歯科X線画像は，治療経過の診断や身元不明死体の個人識別などに用いられている．治療経過の診断を目的として歯科X線画像を使用する場合，異なる日に撮影した2枚の画像を差し引くサブトラクション法が有効である．しかしながら，歯科X線画像の撮影において，X線照射器の配置などが手動で行われることから，同一人物から得られる歯科X線画像間であっても回転，拡大縮小，平行移動などの幾何学的なずれや歪みが生じるため，画像間の位置合わせを画像処理技術で正確に行う必要がある．2枚の歯科X線画像の位置を高精度で合わせる方法は既に提案されているが，その前処理として用いる画像強調法については十分な検討がなされていない．本稿では，異なる日に撮影した2枚の歯科X線画像の位置合わせの前処理として，強調度が可変なヒストグラム平坦化を導入することで，位置合わせ精度が向上することを明らかにする．