胸部Ⅹ線CT像を対象とした局所投影による経時画像間の結節対応付け

摘要

本稿では，胸部Ⅹ線CT像の経時画像間における肺結節の対応付けについて述べる．胸部のCT像を用いて肺結節の治療経過観察を行う際，多発性肺結節のような症例では結節が多数存在するため治療効果を定量的に評価することが困難である．そこで本報告では，個々の結節の経時変化を測定するために，自動的に結節を対応付ける手法を提案する．従来の対応付け手法では結節の位置情報のみを用いていたのに対し，提案手法では結節周辺の血管陰影の情報を併用することで精度の向上を図る．結節周辺の血管陰影を2次元平面に投影し，投影像間の相互相関を基に対応付けを行う．提案手法を同一被験者の治療経過画像4枚に適用した結果，対応する結節265組のうち258組を正しく対応付けることができた．