HMD型テレイグジスタンスの映像シフトによる映像安定化手法－提案手法の評価

摘要

HMDを使用するテレイグジスタンスシステムでは，提示映像の遅れによって操作者の運動感覚と視覚情報の間にずれが生じると，映像酔いなどの問題が発生する．この問題に対し，我々は撮影時のカメラ方向を映像フレームと共に送信し，これと一致する向きに配置した仮想スクリーンにカメラ映像を表示する補正を行うことによって，映像遅延に起因する映像内物体の揺れを解消する手法を提案し，システム構築を行った．しかし，従来の試作システムではカメラの操作者の頭部運動に対する追従精度が十分でない問題が発見されたため，これを解消しシステム評価を行った．頭部運動に対する等価的な映像遅延の推定を行ったところ，補正なしでは629［ms］あった映像遅延が，提案手法によって43［ms］まで減少することを確認した．