デジタル文章流通における伏せ字付き文章の認知特性

摘要

デジタルコンテンツをインターネット上で販売するためには，その概要を的確に伝えることが重要である．デジタルコンテンツはコピーが容易なため，購入以前にその内容すべてを消費者に見せることはできない．そのため，デジタル文章の場合，文章の一部を見せたり，概要を文章で示すなどの方法がとられる．最近，私たちはデジタル文章の概要を示す新たな方法として，文章の一部を伏せ字にして提示するシステムを開発した．本研究では，その有効性を検証するために，文字をランダムに隠すことや単語のような意味をもつ文字列を隠すことが文章の理解にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った．その結果，文章の理解は伏せ字率によって変化するが，ランダムに文字を選択して伏せ字にした場合と単語のような文字列を伏せ字とした場合とで読解成績に明確な差が見られないことが明らかになった．