感覚間·感覚内群化は視覚刺激の知覚時間を変容させる

摘要

先行研究では視覚刺激に同時提示される音が視覚刺激の知覚時間に強く影響することが示されている。本研究では，視覚刺激と同時提示されない音が視覚的時間知覚に及ぼす影響について検討した。実験1では参加者は視覚刺激だけか，課題に無関連な2個の音に挟まれた視覚刺激が提示され，視覚刺激の時間的長さを4つのカテゴリーに分類する課題を行った。その結果，両刺激の刺激間隔に応じて，音が視覚刺激の知覚時間を伸長·短縮させることを明らかにした。実験2では，聴覚内群化がこれら伸縮効果に及ぼす影響を調べるために，視覚刺激の前後に音をそれぞれ3回ずつ提示した。その結果，聴覚内群化は音による視覚刺激の時間伸縮効果を減少，消失させることが見出された。まとめると，これらの知見は音による視覚的時間知覚の伸縮は視聴覚統合によって生じていること，そして感覚間·感覚内群化も時間知覚を変容させる要因であることを示している。