再生医学研究を変える新技術としての循環式三次元組織培養システム: 循環式三次元組織培養

摘要

近年、再生医学関連の研究が盛hに行わるようになったことから、三次元組織培養技術が高い注目を集めている。その理由は、再生医学分野では、多様な細胞へと分化する性質を持つ『幹細胞』から試験管内で臓器を再生することを目標とする研究が多いため、従来の二次元細胞培養法では実施困難な事例が増えているからである。生体組織は、秩序ある細胞層が三次元に積み重なることで『組織』を構成している。これを試験管内で再現するために、様々な原理の三次元組織培養法が開発されている。これまでに、スフェロイド形成プレート（低接着性プレート）（図1)、ハンギングドロップ培養（細胞接着膜を培養ディッシュに浮かす方法)、コラーゲン包埋法（培地をゲル化する手法）などが実用化されている。三次元組織培養の成功により、これまでの二次元細胞培養では解析ができなかった生命現象の研究ができるようになってきた。しかし、現状の三次元組織培養技術では、大きな細胞塊を作成するのが難しいという問題や、細胞塊を長期間維持することができないという問題が存在する。この部分を改善するために、我々は、新しい三次元組織培養システムを開発した。本稿ではそれを紹介したい。