波源モデル化手法を用いた電子機器の妨害波レベル推定法の高速化

摘要

情報技術装置の規格に基づいて放射妨害波の測定を行った場合，3m距離と10m距離では相関性が得られないことが報告されている．しかし，3m距離で妨害波を測定する設備が多くあるため，3m距離の測定結果から10m距離の放射レベルを推定する方法が研究されている．その一つに，3m距離の測定値に基づいて供試機器を波源モデル化し，この波源を用いて10m距離の妨害波を求める方法がある．この方法では波源モデル化に多くの解析時間を必要とするため，これまでは妨害波レベル推定を一度に多数の周波数に対して行うことができなかった．本報告では，30MHz～1000MHz全帯域において妨害波の推定を可能とするため，推定精度とモデリング条件の関係を評価し，推定時間の高速化を図った．実用性の評価を行った結果，模擬機器をEUTとし30MHz～1000MHzの間を401点で分割した場合180分で，PCをEUTとした場合は規格を超える可能性の高い130点の周波数について60分で，簡易化前の推定結果とほぼ同等の精度で推定可能であることがわかった．また，垂直偏波の100MHz～300MHzでは，1/rの計算値より良い結果が得られた．