シリーズ：企業シリーズ㈱福井製作所の製品·技術－第1回 ばね式安全弁

摘要

ポイラを始めとする各種圧力容器、及びその配管ラインの安全装置として設置される安全弁は、その名の示すとおり、これら圧力容器類の内部圧力が規定値を超えて上昇するのを防止し、容器自体や、付属器の損傷、或は、爆発破壊などによる災害を未然に防止するための最終的な安全装置である。 従って圧力装置が正常運転状態にあるときは、安全弁はまったく作動することはない。特に今日のように、エレクトロニクス技術の目覚しい発達により、2重、3重の安全システムが張り巡らされて、その上コンピューターを利用してのディジタル制御により一瞬の異常も見逃さないよう、監視体制の整った近代設備にあっては、安全弁はその寿命がつきる迄、一度も作動することはないのではなかろうか、と想像される程である。しかしながら、これら安全機器類の網の目をくぐり抜けた、何らかの不可抗力による異常、或は、安全機器類が全く動作しない事態に陥った場合においても、安全弁は確実に作動し、その持てる能力を十分に発揮して、圧力機器を、或は尊い人命を、危険から未然に護らなければならない使命を持つ非常に重要でかつ高度の偏頼性のある製品でなければならない。 安全弁に要求される機能とは、次のとおりである。 ①確実に設定圧力で吹くこと。 ②規定の量を排出すること。 ③作動が安定していること。④確実に吹止まること。 ⑤運転圧力でシート漏れのないこと。