耐震設計の実務：高圧ガス設備の免震·制振設計について－貯蔵タンクの免震振動試験および解析

摘要

近年世界的に巨大地震が増加しており、日本国内でも新潟中越地震が発生し一般家屋などに大きな被害を出した。 また、高圧ガス設備ではないが、2003年の十勝沖地震では、浮き屋根武石油貯蔵タンクが炎上するなどの被害が生じている。 高圧ガス設備には巨大なエネルギーが蓄えられており、一旦内容物の漏洩が起これば大きな被害を出す可能性があり、その耐震性の向上に対するニーズは高い。 耐震性向上に有効な対策の1つとして、免震化する方法がある。 しかしながら建築物の分野では近年免震建築物が急増しているが、高庄ガス設備等に関して利用例は少なく、貯蔵タンクについては皆無である。 この理由の1つとして高圧ガス設備等耐震設計基準では「免震構造を採用できる」とされているが、詳細については規定されていないことが挙げられる。本解説では、免震設討ガイドラインの概要について解説する。 また、免震装置付き平底円筒タンクの振動試験·解析の結果得られた知見、今後残された検討課題などについて述べる。