イタリア·ヴイコプォルテ教会堂の劣化現況調査/非破壊試験法の適用性を中心として

摘要

海外での歴史的建築物の調査は，通常，午前9時に始まり，午後5時には終了する。 2時間の昼食休憩をはさhで，1日6時間の肉体労働者となるが，雑用の電話やメールも入らず，夜は長い。 国宝級の建築物に身近に接することができ，普段は立入禁止の場所まで出入りが許されるなど，楽しいことも多いが，それなりに気苦労もある。海外調査における最も重要なことは，現地人との交渉能力である。 調査に関連するさまざまな物品（小物）の調達や電源の確保など，予期せぬ事態に対応する必要がある。調査機器は，事前に日本から空輸するが，電磁波レーダや赤外線カメラなどは，軍事用としても使用できるため，あらかじめ税関に申告しておくなど，周到に準備しておく必要がある。幸い，今回の調査では，名古屋市立大学の青木孝義助教授がイタリア語に堪能である上に，抜群の交渉能力を有しておられるため，比較的スムースに調査を進めることができた。 最後にコーディネータを務めていただいた名古屋市立大学·青木孝義助教授，調査を担当していただいた㈱コンクリート診断センター·込山貴仁取締役,三重大学·畑中重光教授，日本大学·湯浅昇講師，独立行政法入廷築研究所·濱崎仁主任研究員および名古屋大学大学院生·大橋幾世嬢に感謝の意を表します。