座談会『コンクリートで酒蔵をつくる』--朝日酒造㈱松籍蔵の建設を振り返る

摘要

新潟県長岡市に本社および工場を置く日本酒醸造元の朝日酒造㈱は，淡麗辛口の「久保田」や「朝日山」，「越州」などの銘酒で知られ，県内トップシェアを誇る。その精米棟や醸造蔵，調合棟，貯蔵棟，製品工場，製品倉庫，本社事務所棟などは，建物外壁に全て打ち放しコンクリートを適用するなど斬新な設計思想で建設された。現在，12月の完成を目指して新貯蔵棟の建設が進められている。雪が降り積もる厳しい気象条件下で現在，躯体基礎に膨張材を用いた寒中コンクリートを打設する作業が進行中だ。酒蔵は古くから，してくいの白壁に瓦屋根の木造建築というイメージだったが，打ち放しコンクリートで構築した建築群は周匪匠景観に溶け込みながら，独白の存在感を際立たせてしる。ここでは2010年6月に竣工した松穎蔵にスポットを当て，その設計·監理，施工，資材供給に携わった工事関係者による座談会を企画し，これまでを振り返てていただいた。