アルミニウム陽極酸化法とゾルゲル法によるガラス基板上多機能三次元ナノ構造体

摘要

この研究により，蒸着アルミニウムを用いたガラス基板上への各種多機能三次元ナノ構造体の作製とこれを用いた有害有機物の高効率分解除去に成功し，当初の目的を達成することができた。 本解説は本来の目的に沿った研究と新たな用途開発を考えた多機能化の研究を中心にまとめたが，今後の発展を考えるならばむしろこうした結果は別として，ここでは詳述できなかった多くの問題点やノウハウが明らかになったことが大きな成果である。 特に残された問題解決こそが，新たな分野を開拓するためのブレークスルーとなるものと考えている。 また，ガラスに限らず種々の基板上への多機能三次元ナノ構造体の作製を示唆できたことは，今後の展開を考える上で極めて重要なことと認識し，将来に夢を託したい。 特に異分野技術の組合せでは，難しさよりもむしろ面白さを強く感じ，またドライプロセスの成膜技術の微妙さとその奥深さを理解でき，研究のある意味での臭みを経験できたことが大きな財産である。 つまり，蒸着アルミニウムと導電性酸化物付きの各種基板の電気化学的な取扱いの可能性が得られたことは大きな成果であり，そのためには成膜技術のさらなる改善が重要であることがわかった。