ワイヤ放電加工の高仕上げ加工に関する研究

摘要

本研究ではワイヤ放電加工の高仕上げ加工について述べる．既に真柄らにより0.5［μm］Rz以下のサブミクロン粗さが得られるワイヤ放電加工機が開発されているが，通常，ワイヤ放電加工では主加工電源の浮遊容量が大きく，微細放電加工の障害となる．即ち，一般に電流ピーク値を小さく，パルス幅を小さくするほど加工面粗さは改善されるが，パルス幅を小さくしても，放電加工機のワイヤーワーク間の浮遊容量が大きいと，放電したとき，放電電流波形が浮遊容量コンデンサに依存するため，加工面粗さはコンデンサ容量によって定まることになる．従って高仕上げ加工においてはこの浮遊容量を極力減少させる必要がある．しかし現在の加工機がこれらの問題にどのように対処しているのか，対処すべきか等が明確でない．そこで本研究の第1の目的は，サブミクロン加工に必要な浮遊容量問題を解決し，どの程度まで容量を下げ得るのか，またどのような問題があるのかを知ることである．第2の目的はこの過程で見られた面粗さ異方性問題についてその原因と発生機構を調べ，また高仕上げ機構を明確にすることにより，今後の高仕上げ加工の諸問題解決の研究に資することにある．