高強度?高導電性Cu-Zr合金線材Nf-HyCZ~?の開発と ワイヤ放電加工への応用

摘要

ワイヤ放電加工は，切削では困難な複雑かつ高 精細な形状の加工を可能にし，無人連続運転によ る省力化も見込まれるため，現在の産業では不可 欠な電気加工法となっている.加工対象物もこれ までの金型ばかりでなく，電気機械や医療?航空 宇宙などの部品まで多岐にわたるようになり，よ り一層の加工技術の向上が要求されている.この 要求には，加工の高速化，高精度化，作業性，総 コストの低減などがあり，これらに影響を与える 主要因として放電加工機，ワイヤ電極，加工液が ある.この中で，ワイヤ電極には黄錮(Cu-Zn) 線，亜鉛(Zn)または黄銅メッキした鋼線（ピア ノ線)，タングステン（W)線が使用されている が，これらの要求を満足するための新たな線材の 開発が待望されている.弊社は，（i)高強度?高導 電性である銅ジルコニウム（Cu-Zr)合金線材を 開発し，（ii)ナノ組織構造を持ち，（iii)環境に適合 した線材 Nf-HyCZ~? (Nano-fibrous Hypoeutectic Copper Zirconium alloy)として極細線用途に商 品化した.本稿では，Nf-HyCZ~?線材の特徴と基 本的な性質を紹介するとともに，主としてワイヤ 放電加工への応用性について解説する.