電極運動制御装置を用いた曲がり穴放電加工－教示再生法の適用と教示の自動化

摘要

除去加工法により穴を形成する場合，使用される主要な加工法は，切削加工，研削加工，放電加工，レーザ加工などである.これらの加工法のうち，機械技術者が反射的に着想する加工法はドリルを用いた切削加工である.よって，彼らが反射的に着想する穴形状は，穴の中心軸の形状が直線状，かつ，穴の断面の形状が中心軸に沿って一定のものとなる.他の加工法によって形成される穴形状もほぼ同様である.すなわち，一般に除去加工法によって実現できる穴形状の自由度は高いとはいえない.さらに，人間である設計者が着想する穴形状の自由度と比較するならば，この自由度はかなり低いと表せざるを得ない.これは，設計の自由度が加工の自由度により相当に抑制されていることを意味している.このような問題を克服するべく，当研究室では，加工可能な穴形状の自由度を向上させることを目的として，これまでに曲がり穴（中心軸形状が曲線状である穴)，断面変化穴（断面形状が中心軸に沿って変化する穴)，穴内面穴（中心軸が断面の半径方向に分岐する穴)を放電加工により創成する方法について研究開発を行ってきた.このうち，除去加工法を用いた曲がり穴の創成技術に関する研究開発は，その需要の高さから従前より多くの研究グループが取り組hできている.本稿では，当研究室が従事してきた曲がり穴の創成技術に関する研究開発のなかでも，電極運動制御装置を用いた曲がり穴放電加工について紹介する.