キャビテーションの熱力学的効果と極低温流体用ポンプ試験設備の概説

摘要

液体水素／酸素／窒素などの極低温流体を圧送するターボポンプの吸込性能は、いわゆる、キャビテーションの熱力学的効果によって、同条件下の水を作動流体とする場合よりも大幅に改善することが知られている。このキャビテーションの熱力学的効果は、極低温流体が気液密度比および飽和蒸気圧の温度勾配の大きい領域で作動する際、キャビテーションの発生による蒸発潜熱によって液温が低下するのに伴い飽和蒸気圧が低下し、キャビテーションの発生が抑制されることに起因している。著者はこれまで、極低温流体として液体窒素を作動可能な小型遠心ポンプ管路系実験装置の開発し、キャビテーションの熱力学的効果に起因したポンプの吸込性能改善について報告すると共に、熱力学的効果に及ぼすパラメータの影響を調べた結果についても報告してきた。