古くて？新しいセルロースの機能化―温和な条件下での均一ワンポット誘導体化反応―

摘要

天然に最も多量に存在する再生可能な高分子“セルロース”は，衣料や紙·パルプなど，生活に密接に関係している。 非常に安価であり，光合成される天然物であるため，再生産可能なバイオマスの一つとして古くから注目されている。 β－1，4グリコシド結合によって連なった直鎖状で規則性の高いセルロースは，グルコース単位のC_2，C_3，C_6位の炭素に水酸基が存在する。 そのため，これを化学的に誘導体化（置換）させ新しい機能をセルロースに付与させる試みは，多くの研究者によって行われ，古くから研究されている。 例えば，無機エステルの硝酸セルロースは，1830年代に開発された代表的な誘導体の一つである。しかし，通常の有機反応とは異なり，セルロースは温和な条件下で有機溶媒にほとhど溶解しないため，置換度や置換基分布の制御は一般的に困難であった。