『拡大する土壌·地下水汚染―土壌汚染対策法と汚染の現実』

摘要

著者はイタイイタイ病の原状回復と発生源対策にも尽力した土壌·地下水汚染研究の第一人者である．前著『土壌·地下水汚染』（有斐閣，2002年10月）の出版から2年が過ぎ，この間に日本では土壌汚染対策法（以下，対策法）が施行（2003年2月）されたが，「拡大する…」と本書のタイトルにあるように，実態としては，土壌·地下水汚染の対策が進むどころか，むしろ各地で問題や紛争が多発し，被害が広範に拡がる様相を見せている．公害は過去の事ではなく，一般の生活圏に見えない形で継承され，いつ誰の身近でリスクが発現してもおかしくない状況にあることが，本書を読むと強く実感される．