現代左官事情（その156）[建築と左官]

摘要

東京勧業博覧会は、東京府が明治40年（1907）に上野で開催したもので、内国勧業博覧会に匹敵するものであった（写真253）。京都大学の建築学科の創設者であった武田五一は、この博覧会で建設された建物の一部を、「洋風に似て非なる建築」と批判した。一部の建物とは、左官仕上げである木骨漆喰塗りの建築様式のものであった。この建築様式は、その後に建設される、百貨店、商店建築、終末の勧業場の意匠や技術に大きな影響を与えていることは、先に述べた。