低原子価ロジウム錯体へのヒドロシランの酸化的付加を起点とする 炭素-炭素結合形成反応の開発

摘要

はじめに炭素一炭素結合形成は有機合成の分野では韓も基本的かつ重要な課題であり，新規手法開発の努力は有機化学の揺藍期から絶えることなく続けられている。 炭素一炭素結合形成のための革新的な方法論が登場すると，その手法が直ちに複雑な有機化合物の骨格構築ルートにも反映され，目的化合物の合成ルートにおける反応工程の短縮，立体化学制御などの面で大きな成果をもたらしてきたことは周知の通りである。 ところが，地球資源の有限性，地球生態環境保全の必然性が人類共通の認識となった現在では，有機合成化学の開発研究においてもこれらの点を常に念頭に蟹く必要がある。 従って，今後開発される新規反応には，たとえ多官能性化合物の変換であっても，原子効率が高いことはもちろh，反応に関与しない官能基の保護，脱保護の操作を含まないプロセスとして構築されることが強く望まれる。