（業績）「不均一系触媒としての金属ナノ粒子の創成と有機合成への展開」

摘要

不均一系触媒は，活性化エネルギーを低下させ，省エネルギーを実現する一方，回収·再使用が可能なことから廃棄物を大幅に低減できるなど，低炭素·持続可能な社会における有機合成化学の中心的な役割を担うものと期待されている。しかし，これまで有機合成を目的に開発されてきた不均一系触媒は，主に担体に金属錯体や非金属触媒を固定化するもので，しばしば金属の流出や担体の嵩高さゆえに，均一系触媒に比べると化学収率や選択収率が低下することが問題となってきた。宮村氏はこの問題に取り組み，新規金属ナノ粒子触媒を開発し，不均一系触媒として広く有機合成化学に活用できることを明らかにした。以下に代表的な業績の概要を示す。