一家庭紙と共に三世代一令和新時代へ続く家庭紙生産性向上への先駆的ケミカルアプローチ

摘要

近年，中国のミックス古紙輸入の制限による良質な古紙流通量の減少，アカシヤ等の植林木利用率増加などに起因し，粘着物によるピッチトラブルは増加傾向にある。これは，安定操業·品質向上を目指す製紙技術者にとって悩ましい課題の一つとなつている。原料に含まれるピッチは，原質工程においてある程度除去されるが，残存したものは抄紙工程へ持ち込まれ，そのピッチは，各工程へ付着堆積し，欠点などの品質低下，断 紙などの操業性悪化の要因となる。弊社では，ピッチトラブルの解決手段として，原質工程におけるピッチ対策を最も重要と捉えており，その上で，抄紙工程において局所的かつ必要に応じたピッチ対策を施すことが品質向上，生産性向上へ繋がると考えている。本稿では，家庭紙工場における生産性向上，特にピッチトラブル改善に関する弊社の取り組みについて述べる。