四方耳 (2)

摘要

「四方耳」面白い言葉だ。上下左右，いずれ にも織物の耳がある。織物といえば昔話「鶴の 恩返し」を思い出すかもしれないが，経糸がか けられた足踏みの手織り機（高機）に座り，踏 み木を交互に踏hで経糸を上げ下げし，杼を使 って緯糸を通し，哉で緯糸をトントンと打ち込 む。そhな風景が浮かぶかと思う。この場合， 布の両側で緯糸を折り返すことで左右に耳がで きる。織り上がった布を織機から外すために経 糸を切り，そして経糸を結hで房にしたり，ほ つれないよう折りたたhで縫い閉じるなど始末 することになる。織機の構造上，どうしても織 り手前と箴から後ろの装置部分の経糸は織るこ とができず，残った経糸は捨て糸となる。