医師の過重労働と安心安全の医療

摘要

昨年，厚労省は働き方改革において医師のみに時間外労働時間の上限を過労死ラインのほぼ2倍の年1860時間とする報告書をまとめた。その根拠として出された病院勤務医の労働時間のデー夕ーが次頁の図である。これによれば病院勤務医の約4割が過労死ライン (週60時間労働）を超えて働き，また約1割が過労死ラインのほぼ2倍（週80時間労働）を超え，さらに過労死ラインの約3倍（週100時間労働）を超えて働いている医師が1.6%いるこ とが示されている。そして「地域医療を守るため」と「集中的技能向上を目指すこと」を目的として，過労死ラインの2倍を超えて働いている医師が約1割いることを理由に年の時間外労働の上限を1860時間にするとした。何故1割の医師が働いていることを根拠にし たのかの説明はない。今回，厚労省が検討会に提出したデー夕では1860時間を超えて働いている医師が病院全体の27%の病院におり，大学に至っては88%の病院に存在する とされている。