磁気溶液堆積法による薄膜作製における秩序構造形成条件に関するブラウン動力学シミュレーション

摘要

半導体や誘電体材料および磁性体材料のナノ薄膜の作製は，記録媒体などの各種高性能機器にとって非常に重要な技術である.近年，薄膜を作成する新しい方法としてナノ粒子の自己組織化を利用した手法が注目されており，この方法は簡便かつ低コストで粒子を規則正しく配置することが可能であるため，工業化に向けて大きな期待が持たれている.そこで本研究では，強磁性球状粒子からなるコロイド溶液における粒子の沈降現象を，ブラウン動力学シミュレーションにより検討する.具体的には，粒子の沈降現象に及ぼす，印加磁場の強さや，粒子間磁気力の大きさ，粒子の質量密度，ならびに懸濁液の温度の影響を種々に設定し，全粒子が沈降し無次元面密度0.109の薄膜が形成され，さらに秩序構造が得られる条件を詳細に検討する.