サウジアラビアLPガス価格政策史試論（8）

摘要

1995年9月26日，ベネズエラのプエルト·ラ·クルズで第4回国際エネルギー会議が開かれたが，ここでサウジアラビア石油相のアリ·A·ナイミ（当時）が「石油，環境及び技術について」と題した講演を行った。 ここでナイミ石油相は，石油大国サウジアラビアが直面する苦悩を率直に語っている。 「どうしてこhな問題で？ 」と不思議に思われる読者がおられるかもしれない。 多国籍企業とグローバリズムの展開に素早い対応をみせてきたサウジアラビアの石油産業ではあるが，90年代の半ばにまたも大問題に遭遇するのである。 　 「さて（石油の）供給確保に対する懸念が，部分的には消費国の戦略備蓄，世界的な政治状況の改善，及び特に重要なことは，消費国の懸念を払拭しようとした産油国の生産意欲によって隅に追いやられていることです。 我々サウジアラビアは，消費国における下流事業への投資に加えて，消費国に対応できるように原油生産能力増強への投資を通じて，この懸念を払拭すべく貢献しました。 」　 ところが，産油国の生産能力のアップによる石油安定供給のための努力が評価されないどころか，逆に消費国の新たな「戦略展開」の結果として，「安定供給」が産油国の立場を著しく脆弱にする形となっているということなのである。石油供給の不安定さを払拭する努力をして貢献しているのだが，「我々（産油国）は最近の現象である消費国の商業在庫レベルに対する方針に多大な懸念を有している」というのだ。続けよう。