世界のLPG需給バランスと北東の石化原料用需要

摘要

9月17日，千代田区立「内幸町ホール」で（財ーエルピーガス振興センターの第18同研究成果発表会が開かれた。 今年の発表会で報告されたのは，この伊藤氏の「石油ガス開発等供給多様化調査」の上記テーマのほか，「石油ガス流通実態調査」では，総括主任研究員·斉藤典明氏「災害時におけるLPガスの流通実態」，「DME燃料実用化普及促進研究＜DMEはどこまでLPGとの混合燃焼が可能なのか＞＝では，「総活報告」を技術開発部長の村本直俊氏が，「家庭業務用消費横器，LPGガスエンジンによる燃焼実験について」を同部研究員の竹ノ下慎太郎氏が，「小型ボイラーによる燃焼実験，実験棟での実証試験について」を同部総括主任研究員の斎田順二氏がそれぞれ報告した。特別講演は㈱住環境計画研究所代表取締役の中上英俊氏の「省エネルギー社会における家庭用エネルギーの将来」。 集18回ともなると蓄積してきた歴史の重みもなかなかのもので，会場には全国から熱心な聴講者が約250名駆けつけ，各プレゼンテーションに聴き入った。 本誌ではこの中から伊藤氏の報告概要を紹介·掲載する。 周知のとおり，今後数年でLPガスの1,000万トン／年の輸出国となる国が2カ国誕生する。 アブダビとカタールだ。 このほか，イランとクウェートも供給力を拡大する。 2010年前後から大量のLPガスが，現在の需要のままだと供給過剰となる。 当然，LPガス国際市場は大きく変わっていくだろうが，その余剰LPガスの受入先はどこになるのだろうか。 伊藤氏は「それは石油化学産業の原料用として吸収される」という。しかし，どこでもというわけではない。そのLPガスを受け入れるには集件がある。 大規模なエチレン生産能力がなければならない。 それもLPガスを原料として使用できるプラントでなくてはならない。 また，大量のLPガスを受け入れる輸入·供給インフラがなくてはならない。 更に，競合する他の原料に対してLPガスが価格競争力を有していなければならない。 こうした条件を満たすのは米国のメキシコ湾岸地域しかない，と伊藤氏は指摘する。 赣鄤廘Pガスは石化が吸収する」ということは，実は多くの人が指摘してきたことではある。 しかし，あまりにも単純で安易なものが多かった。 この点，伊藤氏の論証は緻密である。 多方面から米国石化を実証分析した屈指の論理が展開された。 氏の指摘は，LPガス国際市場と需給に関心を寄せる者にとって大いなる指針を与えてくれるものだ。 以下，概要を紹介する。