更に新たな段階に入る都市ガス業界今年4月から自由化範囲10万m~3基準へ

摘要

昨年の都市ガス業界は，「禍福はあざなえる縄の如し」とでも形容したくなるような明と暗が錯綜した複雑な一年だった。 明はガス販売がエ業用を中心に引き続き好調で，9月の中間決算など都市ガス各社のほとhどが史上最高の売り上げを記録したことが一番だろう。 このガス販売では工業用と並hでもう一つの柱である家庭用も好調で，当然それを支えるガス機器販売も新機種を中心に好調だった。 しかし，そのガス機器で7月にパロマエ薫製湯沸かし器の不具合がわかり，これまで多数の死者が出ていたことなどが判明して都市ガス業界を震撼させた。 昨年の暗を象徴するともいえる出来事で，オール電化対策が現在業界の最大の懸案事項となっていることから，この問題の重大性は今後ボディーブローとなって業界を長く苦しめることになるだろう。 また，サハリン天然ガスを巡ってプロジェクトⅠでは，事業主体のエクソンモービルがわが国へのパイプラインによる天然ガス輸出を断念して中国と供給面で合意し，プロジェクトⅡではロシア政府がサハリン島内の工事にストップをかけ権益参加に乗り出した。 一般にはプロジェクトⅡの事態を重くみているようだが，本誌はⅠのサハリン天然ガスのパイプラインによるわが国への輸出断念を都市ガス業界にとってこの上ない痛恨事とみる。 パイプラインガス導入による天然ガス取引自由化時代の可能性とその革新性が永遠に失われてしまったと考えるからだ。