化石燃料の役割と重要性を強調＝化石エネルギー検討小委員会中間とりまとめ民主党エネルギーPT化石エネルギー検討小委員会＝

摘要

民主党エネルギープロジェクトチーム（PT）は4月24日，化石エネルギー検討小委員会の中間とりまとめを行った。福島原発事故を契機とする結合エネルギー調査会や内閣府のエネルギー環境会議におけるエネルギー基本計画の見直し議論は原発問題に集中しているが，民主党では稼働停止の原発を補う化石エネルギーの重要性が増大している，との認識から独自の提言をまとめることにしたもの。検討小委は3月22日の初会合以来，週2回のペースで続けられ（現在も継続中），石油連盟，INPEX，JOGMEC，JPEC，商社，電源開発，日本LPガス協会，電事連，日本ガス協会，全石連，資源エネルギー庁などからヒアリングを行ってきた。中間とりまとめは，石油，LPG，天然ガスの上流から国内流通に至る広範囲の問題について現状と課題を網羅したもので，やや総花的な印象は拭えないが，石油の緊急時における役割の重要性や，平時からの需要確保の必要，サプライチェーン維持強化のためのSS減少対策など，石油業界の意見を全面的に取り入れている。また，電力問題では，原発問題で電力の9割超が化石エネルギーとなっており，国富流出を防ぐ観点からも化石エネルギーの安価で安定的な調達と最新省エネ技術による使用量低減が必要とし，エネルギー基本計画に化石エネルギーが国家戦略上重要であることの明記や，老朽化した火力発電のリプレースにつき，全国ベースでのロードマップ作成ーなどの諸策を提言している。これらの提言は，「2017年度まで今後5年間を目途に重点的に取り組むべき事項」としており，政策完遂には民主党が政権与党であり続けるという条件がつくが（来年度予算要求からの盛り込みは可能），原発審議の片隅に追いやられた化石燃料問題，中でも石油政策の重要性について細大漏らさず明記した点は評価できよう。同中間とりまとめは5月10日の民主党政調委員会での了承後正式版として公表。化石エネルギー検討小委ではその後も審議を続け，5月中にエネルギーPTの報告書としてまとめる予定。