騰勢強まる原油市況と新·新仕切体系の行方

摘要

編集部一原油市況は昨年末にやや弱含hだものの，米国をはじめ世界的な景気回復期待から上昇に転じ，WTIは3月中旬以降80ドル／バーレル台に定着。85ドル以上を試す日もあり，中東産ドバイも4月に入って80ドル台の日が続いている。為替は90円台前半の円安ドル高傾向で，わが国の輸入原油価格も4月通関以降，急激な反発が予想されるところとなった02008年のリーマン·ショックのあと落ち込hでいた石油需要も，中国など新興国の経済急成長に伴い，2010年は微増予測となっている。WTIはこの先90ドルから100ドルを目指す展開となるのか，OPECなど産油国の調整増産が働き，80ドル台の現水準で落ち着くのか，アナリストの見方も分かれている。一方，国内では，長引く不況と製造業の燃転等の影響から，石油製品の需要後退が止まらず，ガソリンや灯油など比較的好調な油種を除けば，前年比での落ち込みは激しい。週決め仕切は陸上業転市況の変動に伴い，毎週上げ下げを繰り返してきたが，3月以降は上げ一色となり，元売マージンは回復基調にある半面，特約店·販売店は，滅販と低価格競争のダブルパンチに苦しhでおり，SS数減少にも歯止めがかからない状況だ。こうした中，JXやコスモ石油は新年度から週決め仕切体系のルールを一部手直しし，09年度の実質赤字の原因となった原価割れ基準価格の底上げに乗り出した。特約店にとっては新たなコストアップ要因だが，新エネ事業への投資を進める元売にとって，成長分野でなくなった燃料油の損売縮小は大きな課題であり，系列業者への対応は今後ますます厳しくなりそうだ。アジアでは，中東，インド，中国，韓国で続々，大型製油所の稼働が予定されており，国内精製体制の一層のスリム化高度化も急がれている。