上げ要因一色に包囲されるLPガスCP秋の陣

摘要

サウジアラムコは7月31日，LPガスの8月CPをプロパン·ブタンともに前月比451レ上げて547ドル／トンとする旨，わが国の輸入関係各社に対して通知してきた。 原油市況がまたまた急騰，WTIが昨年8月末，今年4月下旬に次ぐ3度目の75ドル／バーレル突破となった。 LPガスも当然これを反映して極東·欧米各市場とも600ドルCIF前後となる状況。 その下で8月CP決定時期を迎えたため，輸入元売筋でも550ドルとの見方が支配的となっていた。 記者はそれより更に高値の550ドル台半ばもあり得るとみていたが，幸いにもそれは外れてしまった。 WTIが14日に時間外で78.40ドル，時間内終値で77.03ドルの史上最高値をそれぞれ記録したが，その後は利食い売りなどもあってやや下げ，7月28日には73ドル台となった。 しかし，この下げがなければ560ドルどころのCPすらあり得たのではないか，となお思っている。 前句号でも書いたが，①中東情勢のレバノンでの緊迫，②ナイジェリアの67万バーレル／日に及ぶ減産，③3ドルを超えなお伸び続ける米国のガソリン需要，④米国を襲う熱波一等々，原油市況が上げる要因ばかりで下げ要因は皆無。 これにハリケーンが重なるとどうなるのか。 その不安が現実になった。 トロピカル·ストーム，クリスが発生。 メキシコ湾に入り，今年初のハリケーンとなる可能性が出てきたのだ。 だから，今度は80しを超える可能性は大である。 その時，LPガスは一体いくらになるであろうか。 少なくとも今冬は650ドルにいくことも十分ありうるのだ。