やっと本気になったか？米国の石油精製能力増強

摘要

本誌前句号「今冬のWTI，ガソリン，暖房油はいったいどこまで上がるのか！ ？ 」と記者は書いたが，新たなハリケーン·リタの襲来で脆弱な米国の石油需給構造はまたまたズタズタに引き裂かれてしまった。 9月24日，つまりリタがルイジアナ州とテキサス州の州境に上陸した日には，メキシコ湾の石油生産の100％と天然ガス生産の75％が停止してしまった。 湾岸石油精製470万バーレル／日のうち400万バーレル／日が完全に閉鎖され，残る70万バーレル／日のうち67万バーレル／日までが操業短縮，完全に操業したのは1製油所（156千バーレル／日）だけという有り様だった。 しかしながら，これらはリタ襲来に伴うものだけ。 先のハリケーン·カトリーナで壊滅的被害を受けたルイジアナ州とミシシッピ州の4つの製油所＝合計88万バーレル／日は全く動いていない。したがって，現時点（9月24日）で全米精製能力1,700万バーレル／日のうちの488万バーレル／日，28.7％が全く機能していない状態だった。 この状態を危惧した米国エネルギー省のS．ボドマン長官が次のような発言に，米国の石油需給構造に対する危機感が集約されている。 「リタ上陸を前にした今，米国のガソリン生産の220万バーレル／日，中間留分生産120万バーレル／日，ジェット燃料油生産67万バーレル／日が失われてしまった。 」