ボンドバンカー市場が魅力的な存在に

摘要

昨年度のボンドバンカー重油の需給実績がまとまった。 C重油（180cSt）の需要量は550万klへ拡大，前年度を10％も上回った。 その前年度も500万kl台を回復していたわけで，日本での積み込みが堅調に推移していたことを物語っている。 　 550万klを超えたボンドC需要は，国内の保税生産で540万klを賄い，保税輸入は20万kl足らずに抑えられた。 その保税生産は前年度を15％（70万kl）以上も上回り，5％（90万kl）もの前年割れに終わった一般向けC重油内需の落ち込み分を十分カバーした。 バンカーC需給規模の拡大が，国内HSCの需給安定に一役買った格好だ。 　 日本でのバンカー積み込みが好調なのは，シンガポールなど海外に比べ，高い品質と安定供給が邦船に認められているためとされていたが，最近は実質的な割安感も背景に加わっているようだ。 これまでは，競合するシンガポールとの価格差が20ドル／MTを切らないと割安と判断されなかったが，最近は20ドル台なら割安といわれている。 シンガポールで積み込む場合，バージ代の高騰や滞船料が必要になるため，日本積みの価格がシンガポールより20ドル以上高くても，実質的には割安になるケースが多いためのようだ。 　 シンガポールでの高い積み込みコストは，中国の著しい経済成長がもたらしたものと考えられていることから，日本積みの割安感は今後も続く公算が大きい。 ボンドバンカー市場はいつのまにか，魅力的な存在に変身しているようだ。